Why Nostr? What is Njump?
2024-02-22 12:50:17

佐々木将人 on Nostr: ...

まず日本国憲法における人権としての「検閲の禁止」は「行政権による言論の内容を理由にした事前審査と審査の結果として発表自体を許さないもの」という明確な定義がされていて,この意味での検閲が「絶対的に」禁止されるというのが判例の到達点だし,通説もそうなっている。
この点異説をとなえる人はいるけど,結果の妥当性のために,たいていは「絶対的に禁止」の例外を認めてしまうので,おかしいだろ!って通説判例から批判されている。

したがって日本国憲法における人権としての「検閲の禁止」という場合の検閲には,例えば青少年保護育成条例に基づく有害図書の指定は含まれないし(大人であれば買える),名誉棄損があった場合に,損害賠償を命ずるとか回収を命ずるとか,販売の事前差止めを命ずるなんてえのも検閲ではない(司法権によるものは検閲ではない)。まして,例えばとある国際法学者が原稿を出版社に持ち込んで出版を断られても,出版社による検閲とはならないわけだ。

じゃあ,憲法の人権でいう検閲の禁止以外での検閲って用法が許されるかというと……そりゃあ,憲法の基本的人権の保障のイメージに無料のりした戦略で,まともな議論にならないなあ……って思う。

もともとなんで検閲が絶対的に禁止されるかと言えば,行政権にそんな権力を与えてしまえば,行政権に都合の悪い言論を封殺してしまうからでしょ?そうすると行政権を是正する手段に制限がかかるわけで……。
でも一方で,他人に害をなす言論というのも現に存在しているわけで,そういう言論にはそれなりに制裁を与えないといけない。言論であれば全てが許される……なんて世界は,少なくとも自由主義の国では存在していないのですよ。
なんでも検閲にしちゃうのは,「言論であれば全てが許される」のを目指していることになっちゃうので,まあまともな議論にはならないだろうな……。
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