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何故だか夏になると読みたくなる、遠藤周作の「海と毒薬」。1957年発表、1986年には熊井啓監督で映画化されてる。遠藤周作と言えば、キリスト教の信仰を真っ向から取り上げた「沈黙」が有名だし代表作かも。だが私はこちらが好きだ。テーマは…凄く大雑把に言うと…「神なき日本人の罪意識の不在の不気味さ」。これが信仰を持たない私のような人間にも分かりやすい原因だと思われる。つまり「日本人とは何か?」だからだ。ストーリーのベースは…「九州大学生体解剖事件」。第二次世界大戦中の1945年に福岡県福岡市の九州帝国大学医学部の解剖実習室で、アメリカ軍捕虜8人に生体解剖[要曖昧さ回避](被験者が生存状態での解剖)が施術された事件。相川事件ともいわれる。8人は全員死亡した@wikiである。遠藤は、映画「第三の男」の原作を書いた英国作家グレアム・グリーンと親交があったらしいが、謎めいた町医者と主人公の出会いから謎を小出しにしながら先へ先へ読ませる推理小説みたいな展開は見事だと思う。武田泰淳の大長編&大傑作「富士」の静謐で謎めいた出だしと私の個人的趣味では双璧である。これぞ日本の純文学、小説らしい小説だと思う。
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